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2017.03.21 Tue エロゲーレビュー:ナツイロココロログ

FDが出るので手を付けました。
なんとかギリギリで攻略を終えたので、次はFDやります。

0.公式等
http://hearts.amuse-c.jp/rorolog/

1.キャラについて
プレイ順は鈴→久遠→小都音→香奈恵→綺新
キャラ評価はFDが出るとわかっている以上はそっちを込みで判断したいのでささっと。

(1)常盤久遠/クオン
幼馴染。CV:蓬かすみ
センターヒロインだけど、話の根幹である現実と電脳の恋愛というコンセプトからは割と縁遠いキャラ。
幼馴染としてはそこそこなのではないでしょうか。

(2)臣苗鈴/リン
実妹。CV:鹿野まなか
しっかり実妹。シナリオの項で触れますが妹シナリオとしては私的にはかなりいい部類のシナリオに入るかと。

(3)名城綺新/キサラ
おっぱい先輩枠。CV:かわしまりの
個人的にはキサラも方が好み。

(4)七国小都音/ライ
後輩(妹の友人)枠。CV:八尋まみ
個人的にシナリオが鈴なら、キャラは小都音(というかライ)が好み。

(5)梅宮香奈恵
顧問の先生。CV:橘まお
サブ攻略枠。というか攻略サイト見るまで攻略できるのを知らなかった(

2.システム
特筆点、不満点はなし、プレイする上でストレスはない。

3.音楽・演出
特筆点はなし。

4.シナリオ
中核は「リアルリンクプロジェクト」、現実と電脳の恋愛のクロスオーバーが核となる。
電脳世界というと戯画のBALDRシリーズが浮かぶ人も多いと思うが、あそこまでおどろおどろしいものではない。

1.舞台設定考察
(1)リアルリンクプロジェクト
ゲーム内での恋愛シミュレーションを通じて、現実での恋愛にフィードバックさせることを目的とするプロジェクト。乱暴な言い方をするならば、ギャルゲーのオンラインか。綺新の父と香奈恵が進めていたが綺新の父が他界し、香奈恵がプロジェクトを引き継いで進めていた。

綺新がプロジェクトに協力するために香奈恵とともに電脳研究部を立ち上げ、そこに嘉人を誘ったことで話が始まる。

(2)舞台効果
さてこの舞台設定、シナリオにどう作用しているか。①と②に分けて述べる。

①シナリオにおける恋愛過程の加速
まず恋愛シミュレーションという媒介を通すことで、恋愛をする上での過程をある程度すっ飛ばすことができる。これは次の3項に大別できる。

(ア)鈴√にみられる効果
この効果が一番有効になっているのが鈴√である。兄妹間の恋愛を描くのはシナリオ的にすごく難しい。義妹であれば「義理だから~」の免罪符でごまかすことも可能だが、実妹を攻略するとあるとそうもいかず、兄妹が恋愛関係に落ちる模様をしっかり描く必要がある。この舞台設定により、「兄妹」ということを意識することなくシミュレーションを行うことで関係を深め、恋愛過程における兄妹間恋愛の葛藤というものを合理的に後ろに回すことができている。(※1)
これがなかなかうまくできており、通常は兄妹間恋愛だとそもそもとして、「お互いが兄妹ではなく恋人として意識する」という取っ掛かりの部分からなかなかロジカルに描きにくいが、その困難を後回しにすることで先にお互いの恋愛感情を醸成することが可能であり、シナリオの停滞や論理性不足の解消に一役買っている。

(イ)他√にみられる効果
過程のスキップは久遠√、綺新√も同様の効果がみられる。
久遠√では疎遠になった幼馴染の距離間を縮める目的で、綺新√では「恋愛に疎い」というキャラに対してのブーストが目的で、シナリオを流す重要な舞台装置として働いている。
小都音√は電脳と現実の人格が違うため、この効果は表れていない。小都音√に対してこの舞台装置が及ぼす効果については後述する。

(ウ)メタ的な効果
電脳の恋愛を現実世界にフィードバックすることがゲーム内でのプロジェクトの目的であるため、ゲーム内での目的と、リアルでの目的が合致している例と言える。「リアルリンクプロジェクト」という舞台装置を通して、実シナリオ面でも恋愛模様の進行を進めているといえるであろう。

②多重人格性の演出
第2の効果は現実と電脳による多重人格性の演出である。これはキサラとライで見られる。

(ア)綺新√
キサラは本音変換ツールを搭載しているため、そもそもとして作られた人格に近い。キサラ√の肝は、綺新とキサラの人格の漸進的近似化も見どころにあるだろう。最初は綺新とキサラの差がはっきりしているため、「いやこんな行動綺新はとらねえだろ…」という感想がプレイヤーにあるが、恋愛過程が進むにつれてキサラの行動に違和感が少しずつなくなっていく。それは本音変換ツールが完成に近づくというのもあるが、恋愛模様が進むためプレイヤー側も「もしかしたらこういうこともするかもな」という感想に変わっていく。

(イ)小都音√
一方ライは小都音が作り出した人格である。これを電脳世界に投影しているため、小都音とライに人格的差異が存在する。小都音の理想がライであるが、作り出した人格に過ぎないライとの対話がどんどん進んでいき、最終的に人格の分離が行われてしまう。

蛇足ではあるが、筆者はこの√をプレイした時の当初予想は他人のアカウントでのログインであったが、正解は上記の通りであった。しかし多重人格を若干軽く描いている感じが否めず、落としどころに疑問符が生じる。

2.各シナリオ考察
上記考察を基に、各シナリオを検討していく。

(1)久遠
一言でいえば、このゲームで取り扱う意味合いはあまりない。
というのは、結局のところ疎遠になった幼馴染との恋愛模様であり、上記の通り根幹に電脳世界もあまり絡まないためである。(※2)幼馴染シナリオとして見るならば、出来自体は悪くない。

(2)鈴
妹モノシナリオとしては合格点。兄妹間恋愛の葛藤は舞台設定で解決を図っている。
特に最後の電脳デートの演出は見事。「最後」とお互いが知っているからこそのデート進行、デート前に嘉人は感覚フィードバックを下げたことによる「まるでお兄ちゃんとのあいだに、何枚ものカーテンが挟まっているみたいで」という伏線回収、この辺りはそこまで長くないシナリオながらしっかりとまとめ切れていると考える。

兄妹間恋愛のもう一つのヤマとしては「親族説明」があるが、ここの部分は悪い言い方をすればブン投げをしている。
とはいえシナリオの落とし方はハッピーエンドというよりは、「このあとどんなことになっても、この夏のことは忘れない」というセリフにもあるように、かなりビタースイートな感じで落としている。個人的には「理由なきハッピーエンド」よりは、こういったビターエンドの方を評価している。当人同士が幸せならば、それは一つの形なのである。(※3)

(3)綺新
リアルリンクプロジェクトそのものの言及もあるため、シナリオの中身も相まって正ヒロイン度は高め。綺新の親父が残したプログラム人格といい、このシステムの汎用性が伺える。リアルリンクプロジェクト自体の目的は一応この√では果たされる。

(4)小都音
多重人格という難しいテーマでいって、まとめ方がうーん…という感じだったのでなんとも。キャラは2人とも強かっただけに残念。
理想と現実あたりをテーマ設定に持ってきて、理想を投影できる媒体があって、そこに恋愛のすれ違いをもってきて、という流れは悪くなかったように思えるので、あとは説明の補強の問題だとは思う。

(5)香奈恵
サブヒロインなので特に語る点はない。

(※1)実際には主人公サイドは事情を知っているため、主人公側の葛藤はあるが
(※2)無駄な電子ロック解除の格闘シーンがあるけど…
(※3)数少ないエロゲ経験で、もう1つビター系で落としているもので評価しているのが、FORTUNE ARTELIALの瑛里華の初回√。読後感という意味ではTRUEより好き。

5.エロシーン
この手のゲームにしては、思ったよりは少ない。
エロシーンについてはFDに期待というところか。

枠数は久遠3、鈴5、綺新4、小都音5、香奈恵3
綺新がベーシックに現実と電脳で2-2。久遠は現実が2で電脳は1。鈴は現実3の電脳1。
小都音が特殊で、小都音2、ライ2で電脳3Pに1枠存在。

久遠が結構な割の食い方をしていて、フェラ系統がない。理由は不明。

6.総合評価
萌えゲーに見せかけて思った以上にシナリオがあるので、そこは評価。しかし萌え重視のゲームは最近エロシーンも多めの傾向にあるため、エロシーンが少なく感じてしまうかもしれない。
そういた意味で、プレイ後の前と後でイメージが違うゲームなので、そこをどう考えるかによる作品である。

個人的には評価は高め、お勧めできる作品だと考えている。
FDも期待している。

いじょ

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