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2015.03.06 Fri エロゲーレビュー:サノバウィッチ(考察Side)

通常感想はこちらを参照→エロゲーレビュー:サノバウィッチ
ここでは、シナリオ内の疑問点について、私見を中心とした考察を加えていくこととする。

【1.寧々は何年の時を遡ったのか?】
魔法が発動し、RESTARTに至る際に寧々は何年かの時を遡ることとなった。まずはここで何年の時を遡ることになったのかを考察することとする。

作中を見るに、時を遡り寧々はすぐに行動を起こして離婚が行われている。逆に考えると、離婚時の年齢がチャプター0の起点と考えてよさそうだ。
ところでここでさっと調べたのだが、離婚率などは有意の統計データがあるのだが、離婚時の男女間の年齢、子供の年齢についてはあまり有意な統計データがない。私的な事情で恐縮だが、私自身の話を持ってくることとする。
私は両親が不仲で離婚しているが(※1)、その時の年齢は私が中学2年の時であった。後に聞くと、中学に入るまでは待ったとのこと。知っている同境遇の方に昔、話を聞いたこともあるが、中学生までは子供の影響もあるので、良識的な夫婦であればこの辺りまでは離婚をしない傾向にある様子である。

寧々の家庭はそれなりによさそうなご家庭に見受けられるので(※2)、そのような価値判断で離婚したと仮定しよう。ということで、この時期の寧々は13~14歳くらいではないか?と判断できる。

この判断の理由はもう1つあり、RESTARTで寧々の説得を受け入れ離婚していることである。この時点で寧々の年齢が幼する場合、当然両親が聞く耳を持つはずがない。中学生程度の年齢であれば、自分の人生に関わる判断について述べる機会もあるだろう。そういった事情もあり、この辺りではないかと推察した次第である。(※3)

さて、チャプター1時点での年齢だが、エロゲ的お約束で考えるならば18歳である。当然ですね。
結果寧々のタイムスリップは4~5年程度ではないか、と結論付けられる。

※1:それもあり寧々が気になったというのもあるかもしれない。
※2:子供の事なんて考えないDQN家庭だとお構いなしどころかDV気味に離婚する可能性だってある。
※3:雑則的な追加推察ではあるが、あまり幼い時期にタイムスリップした場合、精神と外見年齢を合わせる努力が大変であり、そもそもチャプター1相当の年齢までが長すぎて、寧々の精神が持たない可能性もある。こんな境遇になった人間がいないのでサンプルもクソもないが、人間がこんな状態で5年精神が持つのかすら怪しい。

【2.4~5年の間、台本を演じ続けるような人生は可能なのか】
さて上記の結論を踏まえると、寧々は台本を演じるかのような人生を4~5年続けることとなる。細部についてはいいかげんでいいのかもしれないが、人生における重要ポイントは同様の行動が求められるわけだ。

タイムスリップで過去を変えるというのはテンプレだが、間違えて過去へ行ってしまったから本当に最低限だけいじくって(※3)あとは極力影響を与えないようにする、っていう試みはなかなかに珍しい。
過去に戻った人間がいないので何とも言えないが、過去に戻って全く同じ行動をとった場合、同一世界線に戻るのかということは疑問が生じる。そもそも寧々も言っているが、過去の記憶をもって戻った時点で世界線に変更が生じているのではないか、と考えるのが自然である。バタフライ効果ってやつですな。

さて、そんな状態で寧々の精神状態は如何ばかりであるか。
まず孤独感が相当キツイものになる。当然事情を知っている者は誰もいないし、相談なんてできるはずもない。ここで寧々にとって幸いだったのは、元々魔女として周囲に壁を作っていた付き合いをしていたのもあり、ある程度そういった生き方に慣れていることである。
次に失敗が許されないことである。シナリオの結果を見る限り、世界線自体にある程度の復元力が見受けられるので、事象に直接関係ないことであれば致命的な影響は見られない。ただそもそも姫松に入り損ねたらアウトだし、他にも寧々の人生においてここはこなさなくてはならない、というものはあったはずである。そこに一発勝負をかけなくてはならないプレッシャーは半端ないものであるし、以前と違い無駄なプレッシャーもかかったはずである(※4)(※5)

※3:両親の1ヶ月の離婚の遅れと、継母との関係修復以外、意図的な変更は行っていない。
※4:とはいえ、姫松の試験問題自体は知っているはずであるが…。
※5:どうでもいい話だが、私はタイムスリップした後に通った大学に入り直せと言われて、入り直す自信はない。

【3.作中の方法以外で、寧々と柊史が再び恋愛関係になれたのか】
柊史は「また寧々と会えれば必ず好きになる」とか歯の浮くようなセリフを言ったが、実際は欠片をぶち込んで記憶を取り戻した形で問題の解決は図られた。
さて、当初の関係者の想定通り、再びこの方法以外で恋愛関係になる可能性はあったのだろうか。

普通に考えると魔女になれない時点で、通常の方法で寧々と柊史が恋愛関係に陥る可能性は限りなく低そうである。まずきっかけがない。記憶が飛んでるのに、会ってそのままフォーリンラブなんてあるはずもない。柊史は適当なこと言い過ぎである。だから「ウソツキ」って言われる。
まあその辺も踏まえて七緒と柊史は心の欠片を寧々に持たせる、という賭けをしたのであるわけだが。

寧々も「なんで秘密にしていたのか、おこです」みたいなことを言っていた。作中でも七緒が「寧々に秘密にした方がいい」ということで、そのいくつか理由を述べている。ところがこれ、最善手どころか勝利するためのほぼ唯一の手になるので、おこなんて言っている場合ではない。ちゃんと秘密を守った柊史に感謝すべきである。

【4.心の欠片を入れなおしたRE柊史は果たして元と同一なのか?】
さて、ここからは柊史の考察である。RESTARTではめでたく再会を果たしイチャイチャし始めてるが、こいつはもとの柊史と同一人物と言っていいのか?という疑問が生じる。

作中では「混ざり合う」という描写がある。RESTARTの人生を歩んだ人生に元の記憶の同化が図られたわけである。さて、寧々と違い、RE柊史については何かの影響を与えない限りは元の世界線と同様の人生を歩んでいるはずである。もし寧々行動変化によるバタフライ効果が特別な影響を与えなかった場合は、ほぼ同一人物といっても差し支えないレベルになるはずである。ところが姫松に入った時点で、寧々が違うクラスにいる、寧々がオカ研にいた時に出会った相談者が違うなど、姫松内部で変化が生じているため、少なくとも2年に上がるまでの間に何も柊史に影響がなかったと考えにくい。

ということでやはりここに元の心を入れた場合、やはり微妙に違う印象の柊史が完成するのではないか。それは果たして元の柊史といって差し支えないのだろうか。

他作品の例であるが、DQⅥの話を挙げたい。細かい話を省略するが、主人公とハッサンというキャラはゲーム冒頭で心だけを夢の世界に飛ばされ、そこから冒険が始まるわけであるが、夢と現実の同化が早かったハッサンは完璧に融合できたが、融合が冒険の後半にさしかかる主人公は、融合した結果微妙に印象変わったという指摘を妹から受ける描写がある。(※6)(※7)(※8)
サノバウィッチとの違いは、DQⅥが夢と現実、という同一世界線の別世界で心をやりとりした事に対し、サノバウィッチは同一世界で違う世界線で心のやりとりをしたという違いがあるが、いずれにせよ心の融合が遅れた場合、多少違った人間像になるのは他の創作物でも支持されている考えとは言えないだろうか。

※6:厳密には妹ではない。夢世界で妹だが、現実世界では主人公を拾っただけであり、勝手に兄扱いしてるだけである。
※7:この指摘は実際にゲームでターニアから行われる(はず)
※8:マンガ版は、ムドー討伐(=ハッサン融合)~まおうのつかい討伐(=主人公融合)まで年単位で歳月が経っていた。また、ハッサンは体は石化していたのに対し、主人公の体は夢は夢、現実は現実で行動してたため、それぞれでもっている記憶にそれなりの違いがある、という事情もある。

【5.これはHappy Endなのか?】
ここで核心的な話題に触れることにしよう。ここまで長々と呼んでくれた方(いるのか知らんが)に感謝したい。さて、RE柊史が元の柊史と厳密には違うという価値判断に立った場合、上記の疑問が生まれてくる。

泣きゲー全盛期の00年代、いわゆる転生エンドが散見された。どういうものかというと、とりあえずヒロインを何らかの形で消して復活させてお涙ちょうだい、という方法(※9)が割と多かった時代に、異種族ヒロインで適用させるための方法の一つである。
SAGA PLANETSに「ウソツキは天使の始まり」というゲームがある。(※10)ヒロインに天使であるアリスというキャラがいるのだが、最後は消されて主人公と離別する。ところがエンドで転生体と出会い、再び恋愛していく…というものである。

さて、上の説明だけみてどう思っただろうか。多分、今の萌えゲー全盛期のシナリオに慣れていると「え?HappyEndじゃないだろこれ?」ってならないだろうか。

転生するのが主人公かヒロインかという違いがあるが、パターンとしてはこれに近いものがある。100%同一人物判定ができないキャラに対し、再会し恋愛するのってHappyEndって言えるのか、というのがこの項の疑問である。

ここでは大きく分けで2通りの疑問を投げかけたい。1つは「HappyEndの考え方」もう1つは「今のエロゲーマー的にこういうエンド(シナリオ)ってありなの?」ということである。後者については議論して何か有意な結論が出るわけではない、今後の評判を見て、「ああこういうものか」と納得することとする。ここでは前者について議論する。

まず前提条件であるが、この項は前項の「RE柊史が100%同一人物ではない」という仮定の下、話を進めている。これが同一人物であるならば、紛うことなきHappyEndである。

1.初期世界線ベース
初期にいた世界線ベースで考えるなら、もう逆にBadとしか言いようがない。作中で言うならばRESTART直前の描写である。記憶がない寧々がRESTARTポジ(隣のクラス)でいるので、将来的に元の世界線の柊史が寧々を攻略することを匂わせてはいるが、上記項3で述べた理論がそのまま当てはまる。(※11)
主人公の肉体をベースにした考え方である。

2.寧々ベース
寧々を中心としてHappyかどうかを判定する考え方。この考え方はHappyEndに他ならない。寧々は幸せになる。
ここでのポイントは、主人公の同一性についてはあまり問題ならないことである。寧々の視点に立つのであれば「自分のことを思い出してくれて、好きになってくれて、イチャイチャできる」わけであり、元の主人公と全然違うわけでもない。
シナリオ全体を俯瞰してHappyかどうか判断する考え方である。

3.柊史ベース
Re柊史を中心にした考え方。いいかえると主人公を中心とした考え方である。
ここでのポイントは上記で述べた「柊史の同一性が担保されていない」ことに加え、「記憶をゲーム開始直後段階(=めぐるとすら会っていない)で上書きされるため、他のヒロインを攻略する可能性は全部潰される」という点である。この点からも、「主人公」の同一性が担保されていると言い難い。(※12)
柊史の最終的な同一性、主人公とはなにか、という2点に立った考え方である。

4.心の欠片ベース
移動した心の欠片をベースとした考え方。ここの心の欠片はプレイヤーの認識に言いかえることが出来る。柊史は作中で寧々と初めて会っているため、基本的に柊史とプレイヤーの認識は共有されている。RESTART直前に柊史が寧々を思う心(≒プレイヤーの思い)を用いて心の欠片にしてるので、いわゆるその部分を別の柊史にくっつければ問題ないだろ、って考え方である。
ここでのポイントは、これまた同一性自体は問題になっていないということである。上記の心の欠片から抜け落ちている部分が発生すると問題だが、全部融合している以上、思いは全て残っているから問題ないでしょ?という考え方。
記憶と認識をベースにする考え方である。シナリオ上はここの立場に立ってシナリオを組んでいるように思える。

以上である。プレイヤーサイドから見ると主人公が2人いる扱いとしても見られるため、さっとまとめると「元の柊史」「RESTARTの柊史」「移動した心の欠片」「寧々(=シナリオ全体)」のどこを起点にするかで、Happyの基準が全然違う。(※13)すべての問題解決をHappyとする原理主義者からは到底受け入れられないシナリオであると思う。

※9:ご存じOne、Kanon等の鍵ゲーから端を発する。
※10:四季シリーズ、さらにその前のキネティックノベルの前である。
※11:一応合コンやるっぽいけど…
※12:主人公は攻略可能なヒロインを攻略できるすべての可能性を持っていてこそ主人公である、と個人的には思う。
※13:RE柊史が100%同一人物とするならば、元の柊史=RESTARTの柊史=移動した心の欠片すべてに同一性が見られるため、話はもっと簡単になる。

【6.魔女と代償と服の関係性】
紬は幼少時に男装をさせられていたという記述があるが、結果の代償が「かわいい服を着られない」ということである。ということは関係性があるのだろうか?もっと突っ込んで考えると、紬の魔女服は紬好みのかわいい服である。やはりこの辺りも契約者の色が出るのではないだろうか。

ただそうすると寧々は特に代償等の事情がなくてもオナニー大好きになってしまうということに…。と思ったらRESTARTで発情ないのにローター二刀流でオナニー大好きでしたね。そうすると結局なんだかんだ言って寧々の魔女服は寧々の内心の発露なのではないだろうか…。


寧々はえっちかわいい!

こうさつを おわります

Comments

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エロゲの伝道師 : URL

#SYJ6lyGE Edit  2015.03.28 Sat 21:35

素晴らしい考察でした(´ω`)

キャラがよかっただけにendも綺麗に終わって欲しかった...ほんとに(´・ω・`)

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# 2015.04.11 Sat 23:59

このコメントは管理人のみ閲覧できます

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